「最近の若者は…」はもう古い?

社員の離職は“会社の仕組み”が9割だった


1. なぜ、あの社員は突然辞めたのか?

「やっと採用できた若手が、1年も経たずに辞めてしまった…」
「引き留める暇もなく『もう決めました』と言われた…」

こうした経験、ありませんか?

応募が集まりにくい時代。ようやく採用できた社員の離職は、
会社にとって人手不足以上に、心のダメージが大きいものです。

「最近の若者は…」とつい言いたくなる気持ちも、よくわかります。
ですが、もし離職の本当の理由が、社員本人ではなく──
会社の“仕組み”にあるとしたら?

今回のブログでは、ポッドキャスト番組
『イキイキ企業の未来ナビ』の最新エピソードをもとに、
“社員が辞めたくなる会社”に共通する落とし穴と、
“定着する組織”に必要な仕掛けについて、具体的にご紹介します。


2. 離職は「若者の問題」ではない

新卒の3年以内離職率は、実はこの30年ほど大きく変わっていません。
「七五三現象(中卒7割、高卒5割、大卒3割が3年以内に離職)」といわれるように、これは時代に関係なく続いている構造的な課題です。

この事実が示しているのは、
“若者が悪い”のではなく、組織の側に原因があるということ。

ポッドキャスト内で、社会保険労務士法人ココフル代表の中村はこう語っています。

「人が辞めると、つい『本人のやる気がない』とか『最近の若者は…』と決めつけがち。でも実は、会社側が『働き続けたくなる仕組み』を用意できていないことの方が圧倒的に多いんです。」

耳が痛い言葉かもしれません。でも、だからこそ私たちは「見直せる」立場にいるのです。


3. 社員が辞める3つの「ない」

ポッドキャストの中では、社員が“黙って辞める”に至るまでの背景として、
共通する「3つの“ない”」が紹介されました。

✅ ① 評価が「わからない」

評価制度があっても、「何をどう評価されているのか分からない」状態では、
社員は不安と不満を募らせていきます。

  • 評価シートはあるが、上司からのフィードバックがない
  • 評価の基準が曖昧で、昇給や昇格の理由が説明されない
  • 「頑張っても報われない」と感じさせてしまう

番組内で、スタッフの末松は自身の過去をこう振り返りました。

「評価シートは書くんですけど、結果が返ってこないんです。“何のために書いてるんだろう”ってずっと思ってましたね。」

重要なのは、評価を“査定”で終わらせず、“成長の対話”に変えること
「あなたのこの行動がこう貢献した」「次はこんな挑戦をしてみよう」──
そんな一言が、社員のやる気を育てます。


✅ ② OJTが機能して「いない」

現場任せのOJT(On-the-Job Training)、ありがちではありませんか?

  • 「先輩に教えてもらって」→ 実は丸投げ
  • 「見て覚えろ」スタイルが、未だに根強い
  • 新人が質問できる雰囲気がない

これでは、教わる側も、教える側も消耗します。

OJTが機能するためには、教える側にも“教え方の型”が必要です。
「こう教えると伝わる」「この順番で任せると定着する」──
そういったノウハウの整備が、実は離職防止の第一歩になります。


✅ ③ 居場所が「ない」

仕事にやりがいがあっても、人間関係の孤立は心を削ります。

  • 直属の上司以外に、話せる人がいない
  • 他部署と全く関わらないまま数年が経つ
  • ちょっとした雑談や声かけが、社内から消えている

中村は番組内で、自身の新入社員時代のエピソードを語っています。

「営業で苦しかった時、他部署の先輩が『元気ないな、メシでも行くか?』って声をかけてくれて。それがめちゃくちゃ救われたんですよ。“この会社にいてもいいんだ”って、初めて思えたんです。」

“斜めの関係”が社員の心を支えるのは、今も昔も変わりません。
部署や役職を超えたつながりを、会社として意図的に作ることが、
居場所づくりの鍵になります。


4. 会社の仕組みは「気合い」では変わらない

ここまで読んで、
「うちも少し当てはまるな…」と感じた方へ。

それは決して、恥ずべきことではありません。
多くの中小企業が、同じ課題に直面しています。

重要なのは、気合いや精神論ではなく、仕組みで解決するという視点です。

  • 評価制度を“査定”から“対話”に変える
  • OJTを“現場の親切”から“会社の型”に変える
  • 居場所を“自然にできるもの”から“意図して創るもの”に変える

こうした“仕組みのアップデート”こそが、離職を減らし、定着を高め、
結果として採用活動すら楽にしていく一番の近道です。


5. まとめ:変わるべきは「若者」ではなく「組織」

社員の離職を「最近の若者は…」で済ませてしまうのは簡単です。
ですが本当に向き合うべきは、「最近の組織はどうか?」という問いかけではないでしょうか。

  • 評価が不透明なまま
  • 教える仕組みがなく
  • 居場所をつくる努力を怠っている

もし1つでも思い当たるなら、
今日から「仕組み」を見直すことをおすすめします。

なぜなら、離職を防ぐカギは、社員の“気持ち”ではなく、会社の“構造”にあるからです。


🎧 ポッドキャストでさらに深掘り!

今回の内容は、ポッドキャスト『イキイキ企業の未来ナビ』で詳しくお話ししています。
代表中村とサブパーソナリティ末松が、実体験と本音トークで掘り下げています。

👉 エピソードを聴く:人が辞める理由、まさかうちのせいじゃないよね?


🔔 次回予告

次回のテーマは、
「うちらしく柔軟でも、ちゃんと成果を出す秘訣」

多様な働き方と成果の両立に悩む方へ向けて、
柔軟性と生産性を両立させる“働き方の設計図”をお届けします。お楽しみに!

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