働く意味について考える

なんのために働くのか?

この質問にしっかり答えることができる人は、社内にどれくらいいらっしゃいますか?

いまはコロナ禍で社会も混乱しておりますが、それでもいまの日本は十分に豊かな国です。そんな現代社会では、「働く」という事について真剣に考える機会も少なく、なんとなく日々を過ごしているという方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は改めて「働く」とは何かについて考えてみたいと思います。

誰のために働くのか?

「あなたは誰のために働くのか?」と問われるとどのように答えますか?

  • 自分(家族含む)のため
  • お客様のため

大きく分けると、このように仕分けることができると思いますが、あらたまって質問されると、なんとなくそう答える方が良いのだろうという心理が働いて「お客様のため」と答えることがあっても、本音の部分はどうでしょうか?

多くの方が、実は自分のためと思ってませんか。

もちろんそれがダメなわけはありません、それも大切なことです。でも働くって、それだけでは上手く行かないのです。

自分のために働く

現代社会において人は生きていくためにはお金が必要です。日々の暮らしを確実なものにしていくためには、必ずお金が必要となります。

空腹になったら食事ができるのも

1日の仕事を終えて帰る家があるのも

子供の教育や自分の楽しみに没頭できるのも

これらのことは、全てお金があるからできるのです。人は1人では生きていけません。常に多くの人の助けを得ながら生活しているのです。そして、その助けを得るためにはお金が必要なのです。

お金を稼ぐためには働かなければなりません。自らも誰かの助けになることによって、その対価としてお金を稼ぐことができるのです。

こうやって自分の暮らしを成り立たせる為に働くことを「生業(なりわい)」というのです。

誰かのために働く

働くということは自分の暮らしを成り立たせるという意味もありますが、誰かの役に立つという意味もあります。誰かの困りごとや欲求を満たすために働くのです。

これを「仕事」といいいます。

仕事とは、読んで字のごとくで、「ことにつかえる」です。つまり、誰かの問題や欲求を解消するために、自分の力を使って誰かの役に立つということです。

より困難な問題、より高度な欲求に応えることができればできるほど、他人から必要とされなくてはならない存在になるのです。

物事の順番はどっちから?

さて、ここまでみてきたように、働くということは「生業(なりわい)」という側面と「仕事」という側面があるのです。

そして、生業は自らが働く意思さえあれば成立しますが、仕事はそういうわけにはいきません。幾ら本人に働く意思があったとしても、仕事は依頼する側と、依頼される側で成り立っています。

つまり何か自分の困りごとや欲求を満たすために、誰かのサポートを必要とする者と、その困りごとや欲求の解消を引き受ける者がいて初めて成立するのです。

ここで絶対に忘れてはならない原理原則があります。

みなさん自身もそうだと思いますが、日々たくさんの仕事を誰かに依頼しながら生活していると思いますが、その仕事を引き受けてくれる人の生業のために仕事を依頼する人はいないということです。

例えば、コンビニエンスストアに寄って、一杯のコーヒーを買ったとしましょう。その際に、コーヒーを購入したあなたには、コーヒーを飲みたいという欲求が全くなかったが、店員さんの生活のために欲しくもないコーヒーを買ったという経験がありますか?

誰もが同じだと思いますが、自分にその欲求が全くないのに、相手のためを思って仕事を頼むということは基本的にはないと思います。自分にその欲求があって初めて誰かに仕事を頼もうという気持ちになるのです。

そう考えると、働くということには「生業(なりわい)」と「仕事」という2つの側面がありますが、自らの生業のために働くには、誰かに必要とされその人の困りごとや欲求を解消するという仕事があって初めて働くということができるのです。

仕事の出来栄えは100%依頼者が決める

ここまで働くということについて考えてきましたが、最後にもう1つ大切なことをお伝えします。

それは、「仕事の出来栄えは100%依頼者が決める」ということです。

どれほど自分では努力したと思っていても、どれほど自分では頑張ったと思っていても、その仕事の善し悪しは100%依頼者が評価するのです。

自分では頑張ったつもりでも、その仕事を依頼した人が不満を持てば、その仕事には全く価値がないのです。

より質の高い仕事、より高度な仕事をするためには、仕事を依頼する人から信頼され、その信頼に応える他ないということなのです。

まとめ

今回は働くということについて考えてきましたが、働くということには「生業(なりわい)」と「仕事」という2つの側面があります。

そして、自分が思うように働くためには、まずはその働きを必要とする人の為に、一所懸命に仕事をすることです。その人のことを思ってひたむきに努力する姿に、依頼者は心を動かされ、より高度な仕事を頼もうと思うのです。

その繰り返しが、自らの存在価値を高め、依頼者にとって無くてはならない存在となり、やがて仕事そのものが生業となり、自らの人生が充実するのだと思います。