組織ビジョンと個人ビジョンの関係
コロナ禍の中で、在宅勤怠などリモートで仕事をする機会が増えてきましたが、オンライン環境の中で社員間のコミュニケーションが希薄になり、これまでより社員の協力関係が上手く作れないと悩んでいる企業も増えてきているよです。そこで今回は社員間の協力関係を築くために、組織のビジョンと個人のビジョンについて考えていきます。
目次 -CONTENTS-
企業理念とビジョン
望ましい組織をつくるには、企業理念やビジョンを示すことが大切という話しは良く聞くようになりました。企業理念やビジョンは、元気な組織を作るための活力の源であり、市場において競合他社との差別化の要因になります。
選ばれる理由
組織を持続的に維持発展させるには、お客様からの「選ばれる理由」が重要であり、何で選ばれるかにより企業の価値も変わります。
例えば、「安い」「便利」というような機能的な部分のみで選ばれているとすれば、それを上回る競合他社が現れると、お客様は簡単に乗り移ってしまいます。これでは、組織が持続的に維持発展することができません。
同じ選ばれるのであれば、そういった機能的な部分のみで選ばれるのではなく、企業理念やビジョンのように、組織の存在意義の部分で選ばれたいですね。
なんのために我々の組織は存在するのか?
なぜ我々はビジョンを実現する必要があるのか?
組織の存在意義が明確になることで、そこに共感されたお客様からは、いついかなる時も競合他社があるとかないに関わらず圧倒的な「選ばれる理由」になるのです。
社員間の共通項
また、企業理念やビジョンはその組織に所属する社員同士を結びつける共通項にもなります。日々、様々な想いを持ちながら働いている社員には、それぞれの想いがあり価値観があります。そういった個々の想いや価値観を結びつける共通項としても、企業理念やビジョンは重要なシンボルになるのです。
日々発生する問題に対して解決の方向性を決めるのも企業理念やビジョンとなるのです。
企業理念やビジョンが浸透しない理由
しかし、そういった企業理念やビジョンがどの社員にも浸透している組織はそれほど多くないのではないでしょうか。
HR総合調査研究所が、上場および未上場企業の人事担当者に対して行った調査(2013年)では「企業理念が社員に浸透している」と認識する企業は、わずか6%という回答になっています。「やや浸透している」の36%を合わせても4割強の組織に過ぎない結果となっております。
(出所:人事ポータルサイト【HRpro】「企業理念浸透に関するアンケート調査」結果報告)https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=77
企業理念やビジョンを掲げても、あまり浸透されない組織がなぜ多いのでしょう?
この調査で回答して、最も多かった浸透しない原因は、
「経営層が旗振り役になれていない」
二番目が、
「社員の帰属意識の希薄化」
となっています。
個人理念とビジョンをつくる
経営者が企業理念やビジョンを発信していないのであれば、それは既に論外ですが、発信したからといって直ぐに浸透することはありません。一度発信したくらいでは浸透しないのです。なんども何度も繰り返し浸透させる努力をして初めてじわじわと浸透していくのです。
また、浸透させるための取り組みに関しては、
「パンフレット・カードの配布」57%、「分かりやすい表現での明文化」52%が多い取り組みとなっていますが、それだけで浸透に成功するのは難しいのも現実のようです。
私の個人的意見としては、企業理念やビジョンを浸透させる為に一番重要なのは、社員自身も自らの個人理念やビジョンを持つことだと思っています。
1人ひとり、それぞれが自らの個人理念やビジョンを持つことにより「なぜ働くのか?」が明確になり、自分が働くことでどのように社会に役に立つのかが、はっきりと見えてくると働くことに対して主体的になります。
そして、それが企業理念やビジョンと結びついた時に、初めて企業理念やビジョンが浸透したと言えるのではないでしょうか。理念やビジョンは与えるものではなく、一人ひとりが自らの人生の中で想い描き作り上げるものだと思います。そのことを忘れて、経営者が上から企業理念やビジョンを押しつけようとしても上手くは行かないのです。
まとめ
社員自らが個人理念やビジョンを持ち、それを達成するために組織に所属し、自分の意思で組織をつくり上げていると考えること、そして社員相互に互いの個人理念やビジョンが達成できるように支え合うことが、組織の企業理念やビジョン浸透の肝だと思います。